遠隔医療の未来 　　　　　著　者： 柴田　優
 
遠隔医療とは、音声と映像の実況中継を通して行われる医療行為である。
また、電話、インターネット、映像配信などで
医療関係の情報を発信することも指す。
遠隔医療は決して新しいものではなく歴史は長い。
最近の技術の進歩により驚くべき発展を遂げている。

遠隔医療の歴史は古代アフリカにまでさかのぼる。古代アフリカでは、
村で深刻な伝染病が流行ると、煙を使って他の村に警告した。
他にも、初期の遠隔医療としては1900年代初頭のオーストラリアでは、
人里はなれた土地に住む人たちが、
ロイヤル・フライング・ドクター・サービス
（緊急医療サービスをお行う医療法人）と
送受信ができるラジオで連絡を取り医療的な相談をしていた。

遠隔医療と呼ばれるものにはいくつか種類がある。
まず「情報収集・配信」と一般的に呼ばれるもので、
医療情報をいったん患者から集めて、その後、
専門家に送りチェックしてもらうというものだ。
この方法の利点は医者と患者が実際に顔を合わせる必要が無く、
時間の融通が利くということだ。しかし、
診察は医療記録、もしくは音声やビデオの記録に頼ることとなり、
これを好ましく思わない患者も多いはずだ。

「遠隔モニタリング」も遠隔医療のひとつであり、
最近よく使われるようになって来た。
遠隔モニタリングを使用すれば、医療技術者や医者が、
患者と患者のための医療機器を遠隔地から監視することができる。
遠隔モニタリングは特に慢性疾患や、
心臓病などの特定の病気の治療でよく知られている。

遠隔モニタリングは従来の方法と比べると、
コスト効率などさまざまな利点がある。
直接医者が患者を訪問するよりもコスト効率ははるかに良い。
それでいて実際に訪問するのとほぼ同じ効果が得られるのだ。

最後に紹介する「双方向遠隔医療」は前途有望な遠隔医療のかたちである。
双方向遠隔医療とは電話、インターネット、衛星中継などを利用して
医療従事者と患者の双方向のやり取りを実況で可能にする技術だ。
近年の技術の進歩で高技術の遠隔コミュニケーションが可能となった。

遠隔地からの手術、またはさらに複雑な医療行為を遠隔地から
行うことができる日が来るであろう。
現在は、遠隔医療のほとんどは身体検査、診察歴の確認、
精神鑑定を含む検査などに利用されている。
そして、実際に医者と患者が対面して行うのとほぼ同等の結果を得ている。

患者は遠隔医療で新しい医療の世界の扉を開くことになるだろう。
そして、医者は向かいの通りの患者から、
地球の裏側にいる患者まで診療することができるようになる。

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